清田みくり「水」#4

写真家 丸谷嘉長 / モデル



 

 



●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

清田みくり「水」#3

写真家 丸谷嘉長 / モデル





私は今、16歳。

「自分を大人だと思うか? 子供だと思うか?」と聞かれた。
「見た目は大人かもしれないけど、心の根っこは子供」と答えた。
大人は落ち着いていて、非常識なことはしないけれど、
子供はどこでも大声を出して走り回ったりする。

私も大人のように落ち着いていたいけど、
たまに子供のように無邪気に走り出してしまう。
だから、半分大人で半分子供。
そんな等身大の自分、大人でも子供でもない私を見て欲しい。

「最近、自分が大人になったなと感じたことは?」とも聞かれた。
「物欲が減ったこと」と答えた。
これまでだったら、文房具とかも流行の可愛いものが欲しかったけど、
最近は、今あるものを使ってからでいいと思うようになった。
そう言うと「この世界で仕事をしていくのなら、欲を持った方がいいのでは?」と聞かれた。

「でも、なくなったのは物欲だけ。食欲も睡眠欲もあるし、女優として活躍したいという欲は、すごくあります」と答えた。

半分大人で、半分子供の私。
みなさんには、どう映っているのだろう。
みなさんには、どう私の言葉が届いているのだろう。

 

モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

 

 

清田みくり「水」#2

写真家 丸谷嘉長 / モデル





●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

清田みくり「水」#1

写真家 丸谷嘉長 / モデル







久しぶりに水遊びをした。どれくらいぶりだろう。
小さい頃、海に遊びに行ってクラゲに刺されたことがある。
それがトラウマになっているのか、
海では膝より深いところには入らない。

小学生の時、プールの授業があった。
私は息継ぎができなかったので、
息継ぎなしで25m泳ぎ切ろうと思った。
でも、あと少しのところで苦しくなって足をついてしまった。

どうも水には、良い思い出がない。
でも、今日は久しぶりに水遊びをした。楽しかった。
楽しい時には、楽しいことを重ねたい。
私は子供っぽいことをすると楽しくなる。
だからスキップをした。
スキップした時に体が一瞬、フワッとする感覚が好きだ。

もしかしたら、気持ちを高めたい時には
スキップをするといいのかもしれない。

水遊びをした。スキップをした。
なんだか、だんだん楽しくなってくる。

 

●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

清田みくり「かさぶた」#4

写真家 丸谷嘉長 / モデル



 



●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

清田みくり「かさぶた」#3

写真家 丸谷嘉長 / モデル





「今日のテーマは“かさぶた”」と言われて、どうしようかと思った。
かさぶたは新しく作られている皮膚を守っているイメージがあるけれど、どう表現していいかわからない。
だから「自分はかさぶただ!」と思って、いろんなところにくっつこうと思った。新しく作られている皮膚を必死で守るように。

私の長所は真面目なところ。学校の規則も守るし、提出物を忘れることもない。信号無視もしない。
でも、この真面目さは女優にとって、どうなんだろう。
私は感情を爆発させる女優さんになりたいのに、うまくできないのは真面目だからなのだろうか。
だから、今はとにかくいろんな経験をしたい。いろんな感情を手に入れたい。

「心が傷ついた時、どんなことをする?」という質問を受けた。
私は「時間が経つのを待つだけ」と答えた。
体に傷ができた時には薬を塗るけど、心が傷ついた時には癒えるのを待つだけ。
待って治らなかったことはないし、すぐに治そうとしても簡単に治るものではない。
新しい皮膚ができるのを待つだけだ。

「逃げたくなる時は、どんな時?」とも聞かれた。
私は「自分が自分の気持ちと真逆のことをしている時」と答えた。
友達と話をしていて、本当はすごく怒っているのに愛想笑いとかをしている時は、自分が嫌で逃げたくなる。
でも、そこで逃げないのが最善策だと思うから、そこにいる。
自分の気持ちをかさぶたで隠してるのかもしれない。

私はかさぶただ。今、いろんなものにくっついている。
でも、かさぶたが剥がれるのは、もうすぐだと思う。

 

 

●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

清田みくり「かさぶた」#2

写真家 丸谷嘉長 / モデル





●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

清田みくり「かさぶた」#1

写真家 丸谷嘉長 / モデル



 

 



 

 

 

 

 

行き止まりの道に追い詰められて、立たされた。
「今の感情を表現して!」というカメラマンの声に戸惑う。
私は、これまで本格的な撮影をしたことがない。
もう、どうしていいかわからない。

中学3年生の時に芸能界に入った。
映画『マリと子犬の物語』(2004年新潟中越地震での実話をもとにした作品)が好きで、女優に憧れた。
普段の私は、クラスの中で輪の中心にいるようなタイプではない。
どちらかというと地味で目立たない存在だ。

“意気地なし”なんだと思う。友達が間違ったことを言っていても『違うよ』と声に出して言えない。だから『ああしとけば良かった』と後悔することが多い。
自分の気持ちを伝えるのが苦手。それなのに“表現”の道を選んだ。

ただ元気で明るいだけの人は、平面的というか……率直にいうと面白くないと思う。
私が目指している演技は、悲しさを隠しているのだけれども何かの拍子でそれが出てきてしまうような表現。心の傷を隠して生きる人が気になる。

撮影が続いている。金網を蹴ってみる。すると少し気分が変わった。
開き直ったというか、なんだか少し楽しくなってきた。
次は何をしよう。

 

●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優