栗田桃花「喜」「怒」
ケータイを見ながら草の上に寝転んでいる
「早く通知が来ないかな」って待っている。
大好きな人とのメッセージのやりとりは、
なぜだかニヤニヤしてしまう。
会話が途切れないように質問を投げかけて、
「ピコン」と通知音が鳴るとうれしくてたまらない。
恋をするひとりの少女。ある物語の主人公。
そんな気持ちを想像して「喜」の撮影に臨んだ。
*
人前に出ることが好きで、いまはお芝居を中心に頑張っているけれど、
“たったひとり”で感情を表現するのは難しい。
やっぱり、どこかに照れがあるし、
ちょっぴり恥ずかしいと思ってしまう。
*
「喜」の次は「怒」。
私は、大声を出して怒ることはない。
冷静に相手に問いかけるタイプ。
だから「怒」の感情を表現するのは大変だった。
それで、その気持ちを石に込めようと思った。
力いっぱい石を投げる。
お芝居ならば「バカヤロー!」と言えば怒っているとわかるけれど、
写真だと言葉で伝えることはできない。
そんな違いにも少し戸惑った。
それでも自分なりにやりきった。
いまのすべてを出しきった。
だから、きっと皆さんに届いていると思う。
*
「好きな感情は?」と聞かれた。
それはもちろん「楽しい」だ。
「喜び」よりも「楽しい」。
楽しいということは、何かに夢中になっているということ。
「寂しい」とか「悲しい」気持ちを忘れられる。
「嫌いな感情は?」と聞かれた。
嫌いなのは「嫉妬」。
自分の劣っている部分に気づいてしまうから。
それでモヤモヤした気分になるのは嫌。
*
喜び、怒り、哀しみ、妬み、楽しい、悔しい、愛おしい……。
なんで人間は、いろいろな感情を持っているのだろう。
きっと自分の微妙な気持ちをほかの人に伝えたいから。
ほかの人との関わりを持っていたいからだと思う。
私は女優という、気持ちや感情を伝えられる人を目指している。
だから今回、微妙な感情の表現に挑戦できたことは良い経験になった。
そして、ありがたいと思った。
皆さんは、栗田桃花のネガティブポップを
楽しんでいただけましたか? 喜んでいただけましたか?
【撮影】 薮下剛士
【ロゴデザイン】坂下晶夫
【インタビュー】 村上隆保
【モデル】栗田桃花
2004年3月30日生まれ(15歳)、静岡県出身。
ドラマ「ハゲタカ」(テレビ朝日 2018年)にて、ドラマデビュー。
最近では「ワイドナショー」のワイドナ高校生としても出演。
また、オダギリジョー監督の映画「ある船頭の話」(9月23日公開)も控えている。
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