清田みくり「かさぶた」#3

写真家 丸谷嘉長 / モデル





「今日のテーマは“かさぶた”」と言われて、どうしようかと思った。
かさぶたは新しく作られている皮膚を守っているイメージがあるけれど、どう表現していいかわからない。
だから「自分はかさぶただ!」と思って、いろんなところにくっつこうと思った。新しく作られている皮膚を必死で守るように。

私の長所は真面目なところ。学校の規則も守るし、提出物を忘れることもない。信号無視もしない。
でも、この真面目さは女優にとって、どうなんだろう。
私は感情を爆発させる女優さんになりたいのに、うまくできないのは真面目だからなのだろうか。
だから、今はとにかくいろんな経験をしたい。いろんな感情を手に入れたい。

「心が傷ついた時、どんなことをする?」という質問を受けた。
私は「時間が経つのを待つだけ」と答えた。
体に傷ができた時には薬を塗るけど、心が傷ついた時には癒えるのを待つだけ。
待って治らなかったことはないし、すぐに治そうとしても簡単に治るものではない。
新しい皮膚ができるのを待つだけだ。

「逃げたくなる時は、どんな時?」とも聞かれた。
私は「自分が自分の気持ちと真逆のことをしている時」と答えた。
友達と話をしていて、本当はすごく怒っているのに愛想笑いとかをしている時は、自分が嫌で逃げたくなる。
でも、そこで逃げないのが最善策だと思うから、そこにいる。
自分の気持ちをかさぶたで隠してるのかもしれない。

私はかさぶただ。今、いろんなものにくっついている。
でも、かさぶたが剥がれるのは、もうすぐだと思う。

 

 

●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優