森七菜 #3「影」

写真家 丸谷嘉長 / モデル



森七菜 #影

 



「ドラマ(3年A組-今から皆さんは、人質です-)は、同世代の出演者が多いから、やっぱりライバル視しているの?」と聞かれたけど、私はライバルではなく、仲間だと思っている。

3Aの生徒たちは「生きるか死ぬか」というギリギリの状況にいる。それをリアルに伝えたい。だから「本当に死ぬかもしれない」という気持ちを何日もキープする。

極限状態の気持ちでいると、精神的にも肉体的にもキツイ。本当に体調が悪くなるくらいツライ。

でも、頑張っているのは「この作品を絶対に良いものにしたい」という思いがあるから。

現場では「このシーンは、こうしたほうがもっと良くなるんじゃないか」という生徒たちの真剣な会話があちこちから聞こえてくる。

良い作品を一緒に作ろうとしている。だからライバルじゃない、仲間。



「2019年注目女優と言われているけど?」とも質問された。

そう言われるのは、とてもありがたいこと。

だからといって「何かを特別に頑張る」ということはしない。今までと変わらずやっていくだけ。

私は、力まずにやっていく。



今回のテーマは「影」。

自分の影をじっくり見るのは久しぶり。

小さい時は影と遊ぶことが多かった。

家まで電柱の影を踏まないように帰ったり、手でキツネやハトの影絵を作って遊んだり……。だから、影は自分の幼な友だち。

今日は、その幼な友だちと久しぶりに遊んだ。

一緒に遊んで懐かしく思ったし、ちょっと愛しい存在に感じた。

最近、遊ばなくなったからかな。お互い、ちょっと大人になったのかも。

「もし、影武者がいたら何をしてもらう?」という質問。

「私は今の生活を続けて、その影武者の人はどこか違う場所で、私とは違う人生を送ってもらう」と答えた。

だって、かわいそうだから。

影武者って、自分がやりたくないことをやらされるということ。自分の人生を使って、誰かの代わりをやるのは嫌だと思う。

それに、少し前までは「私にはできない」と思ったことも、信じてやったことで自分が成長できた。

そんな貴重な経験を誰にも渡したくない。

今の私には、影武者はいらない。

「どんな光が好き?」と聞かれた。

私が好きなのは、お昼過ぎの部屋に入ってくる、薄いカーテンを1枚通した光。

強い光をカーテンで少し遮ると、そこには光も影もある。

影はすごく懐かしくて、愛おしい存在。

そして私が好きなのは、光と陰のちょうど中間

強い光はあまり気にせず、今年もマイペースでやっていく。



森七菜 Nana Mori

2001年8月31日生まれ。大分県出身。女優

2020年公開予定の映画『Last Letter』(監督・岩井俊二)で、主人公の娘・岸辺野颯香 と 主人公の高校時代の二役を演じる。

また、現在放送中のドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ/毎週日曜・22時30分から)では、電脳部に所属するアニメ好きの堀部瑠奈を演じている。

インタビュー/村上隆保(Takaho Murakami)

#1「死ぬこと」

#2「原価」