森七菜 #影
「ドラマ(3年A組-今から皆さんは、人質です-)は、同世代の出演者が多いから、やっぱりライバル視しているの?」と聞かれたけど、私はライバルではなく、仲間だと思っている。
3Aの生徒たちは「生きるか死ぬか」というギリギリの状況にいる。それをリアルに伝えたい。だから「本当に死ぬかもしれない」という気持ちを何日もキープする。
極限状態の気持ちでいると、精神的にも肉体的にもキツイ。本当に体調が悪くなるくらいツライ。
でも、頑張っているのは「この作品を絶対に良いものにしたい」という思いがあるから。
現場では「このシーンは、こうしたほうがもっと良くなるんじゃないか」という生徒たちの真剣な会話があちこちから聞こえてくる。
良い作品を一緒に作ろうとしている。だからライバルじゃない、仲間。
※
「2019年注目女優と言われているけど?」とも質問された。
そう言われるのは、とてもありがたいこと。
だからといって「何かを特別に頑張る」ということはしない。今までと変わらずやっていくだけ。
私は、力まずにやっていく。
今回のテーマは「影」。
自分の影をじっくり見るのは久しぶり。
小さい時は影と遊ぶことが多かった。
家まで電柱の影を踏まないように帰ったり、手でキツネやハトの影絵を作って遊んだり……。だから、影は自分の幼な友だち。
今日は、その幼な友だちと久しぶりに遊んだ。
一緒に遊んで懐かしく思ったし、ちょっと愛しい存在に感じた。
最近、遊ばなくなったからかな。お互い、ちょっと大人になったのかも。
「もし、影武者がいたら何をしてもらう?」という質問。
「私は今の生活を続けて、その影武者の人はどこか違う場所で、私とは違う人生を送ってもらう」と答えた。
だって、かわいそうだから。
影武者って、自分がやりたくないことをやらされるということ。自分の人生を使って、誰かの代わりをやるのは嫌だと思う。
それに、少し前までは「私にはできない」と思ったことも、信じてやったことで自分が成長できた。
そんな貴重な経験を誰にも渡したくない。
今の私には、影武者はいらない。
「どんな光が好き?」と聞かれた。
私が好きなのは、お昼過ぎの部屋に入ってくる、薄いカーテンを1枚通した光。
強い光をカーテンで少し遮ると、そこには光も影もある。
影はすごく懐かしくて、愛おしい存在。
そして私が好きなのは、光と陰のちょうど中間
強い光はあまり気にせず、今年もマイペースでやっていく。
森七菜 Nana Mori
2001年8月31日生まれ。大分県出身。女優
2020年公開予定の映画『Last Letter』(監督・岩井俊二)で、主人公の娘・岸辺野颯香 と 主人公の高校時代の二役を演じる。
また、現在放送中のドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ/毎週日曜・22時30分から)では、電脳部に所属するアニメ好きの堀部瑠奈を演じている。
インタビュー/村上隆保(Takaho Murakami)
#1「死ぬこと」
#2「原価」