廃墟の肖像
「鹿島海軍航空隊跡」時を経て、その役目を終えた構造物たちは、悠久の自然にその身を委ね、新たな姿へと変貌を遂げています。私は、こうした「廃墟」を、そこに宿る物語や記憶を秘めた「ポートレート」として解釈しました。
モノクロームのハイコントラスト表現を用いることで、時間の経過によって削ぎ落とされた本質的な姿を露わにし、静寂なノスタルジーを際立たせています。冷たく荒廃した風景と、しなやかに絡みつく植物の対比は、生と死、そして再生という普遍的なテーマを象徴します。これらの作品が、見る者の心に、失われた過去への郷愁と、現在の静かな美しさへの畏敬の念を呼び起こすことを願っています。
LEICA M9