Etude 2

 丸谷嘉長 大串有希

étude 大串有希 Vo.2

 

わたしは撮影に臨むにあたり、

どのような対象であっても必ずテーマと、

それに沿ったプロットを提示する。

対象が俳優やモデルであれば、

なおさらコンセプトやテーマは重要になる。

セッションの前に、互いの解釈を交わし、

プロットを煮詰め、思考を巡らせて撮影に入る。

ときにプロットは、

表現をがんじがらめに縛る呪縛にもなる。

しかし、その束縛から解き放たれた瞬間、

人はまだ見ぬ自分と出会うことがある。

今回はあえて、

テーマやプロットを設けず、

即興――『étude』として撮影を行った。

俳優は戸惑いながら、

自身の核を見つけようとする。

その迷いすらも表現の一部として、

隠すことなく差し出している。

一方わたしは、

何が放たれても受け取れるよう、

身体と感覚を研ぎ澄ませる。

写真とは、

写す者と撮られる者によるセッションである。

どちらか一方が遠くへ行ってしまえば、

それは創作ではなく、

単なる記録に過ぎなくなる。

二度と戻らないこの日、この瞬間の

感情の解放は、

確かに写真の中へ写り込む。

撮られる者と写す者は、

どのようなテーマであっても、

鏡のような存在である。

それがエチュードであっても、

その関係性は変わらない。

願わくば、

痛みも、多幸も、

写真がすべてを吸収し、

表現の奥底から

静かに滲み出ることを望む。

 

丸谷嘉長

Photo 丸谷嘉長

 

Model   大串有希

1997年8月4日生まれ。大阪府出身。16歳で俳優デビュー。

映像を中心に活動しながら、舞台でも経験を積む。

2019年には、at THEATRE演劇祭にてグランプリを受賞。 舞台『フラガール』(‘21年@Bunkamuraシアターコクーン)にて初子役、(22年、‘25年@新国立劇場中ホール)では小百合役の二役を演じ分けた。

 

Hair&Make  佐藤寛(KOHL)