伊島空「Diver」#8















































































































永遠の若さ



2018年に死去した物理学者、スティーブン・ホーキングが
死の直前、最後の論文を書き上げていた。
そのタイトルは、
「永遠の膨張からのスムーズな離脱」というものだった。
一見、矛盾したテーマのように見えるが
多次元宇宙について書かれたものであるという。
宇宙の可能性を、頭の中で、無限に広げてくれたのがホーキング博士だった。


手塚治虫の漫画「火の鳥」が示唆を与えてくれる。
「黎明編」の卑弥呼は、永遠の命(若さ)を得るために、火の鳥の血を飲もうとするが、それは結局叶わない。「未来編」の主人公は、火の鳥から永遠の命を授かり、
悩み苦しむこととなる(そして、彼は、神に、なった)。


永遠の若さとは、念である。
想いである。
正確には、そう自覚する時間である。
しかし、時間とは我々が考える流れではない。一瞬も永遠たりえる。
実は、動いているが止まってしまった時間。


ジャン・リュック・ゴダールの映画「気狂いピエロ」。
アルチュール・ランボー「地獄の季節」の一節が、詠まれる。
「見つかった? 何が? 永遠が。 太陽と共に去った海が」


そういえば、「宇宙」と書いて「そら」と読ませるようになったのはいつからか。
1982年の映画「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙(そら)」からのような気がする。
それまで、「宇宙戦艦ヤマト」が宇宙空間に浮かんでいたように、
そこ(宇宙)は「うみ」だった。


誰もいない星。うみの波際に、ひとりの青年が立っている。
そら(空)には、月のようなものが見える。太陽が、去ろうとしている。
彼に、永遠は、見えただろうか。






撮影 : 野﨑 慧嗣
ヘアメイク : 浅野 有紀
文章 : 小林 淳一
ロゴデザイン : 坂下 晶夫 






モデル : 伊島 空





1995年5月31日生まれ。東京都出身。 映画『菊とギロチン』(監督:瀬々敬久)、映画『止められるか、俺たちを』(監督:白石和彌)などに出演。テレビ東京「コタキ兄弟と四苦八苦」、 テレビ大阪/ BSテレ東「ハイポジ」出演中。Netflix「深夜食堂-Tokyo Stories Season2-」配信中。初主演映画『ファミリータイプ』(監督:沖田修一)がWEB公開中。





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