伊島空 「Diver」#7













































































































 


 


 


 


一瞬の若さ


 




ダイヴすること。

息を深く吸い込み、息を止め、海に深く潜る。





1976年11月23日、フリーダイバーのジャック・マイヨールは、

人類ではじめてとなる100m超の素潜りを敢行した。

100m先の蒼く深い底に、彼は何を見たのだろう。





ジャック・マイヨールは語る。

「情熱をなくすくらいなら、情熱に溺れたほうがいい」





海岸の美少年を見つめる音楽家がいた。

バックには、マーラーの「交響曲第5番 第4楽章 アダージェット」が流れる。

多くの映画ファンが、その光景と共に、映画「ベニスに死す」を記憶している。





一瞬の若さとは、美である。

それは本人の想いとは関係なく、客体的に存在するものであることを

このヴィスコンティの映画は教えてくれる。





北野武の映画が指し示すように、海とは、生と死の境界線だ。

ヴィスコンティ映画の中の音楽家は、そこをみつめていた。

蒼い海が、広がっていた。





その手前に、一瞬の若さ、がある。

美が、ある。

青い空が、広がっている。

本人が気づく必要は、ない。

情熱に、ただ溺れれば、いい。





マイヨールのように、深く、深く、潜ればいい。




 


 


 




【撮影】野﨑 慧嗣
【ヘアメイク】浅野 有紀
【文章】小林 淳一
【ロゴデザイン】坂下 晶夫 






モデル : 伊島 空





1995年5月31日生まれ。東京都出身。 映画『菊とギロチン』(監督:瀬々敬久)、映画『止められるか、俺たちを』(監督:白石和彌)などに出演。

テレビ大阪/ BSテレ東「ハイポジ 1986年、二度目の青春。」2020年1月11日(土)スタート。
Netflix「深夜食堂-Tokyo Stories Season2-」配信中。初主演映画『ファミリータイプ』(監督:沖田修一)がWEB公開中。





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