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2018-09-01

清田みくり「かさぶた」#1

 

 

行き止まりの道に追い詰められて、立たされた。
「今の感情を表現して!」というカメラマンの声に戸惑う。
私は、これまで本格的な撮影をしたことがない。
もう、どうしていいかわからない。

中学3年生の時に芸能界に入った。
映画『マリと子犬の物語』(2004年新潟中越地震での実話をもとにした作品)が好きで、女優に憧れた。
普段の私は、クラスの中で輪の中心にいるようなタイプではない。
どちらかというと地味で目立たない存在だ。

“意気地なし”なんだと思う。友達が間違ったことを言っていても『違うよ』と声に出して言えない。だから『ああしとけば良かった』と後悔することが多い。
自分の気持ちを伝えるのが苦手。それなのに“表現”の道を選んだ。

ただ元気で明るいだけの人は、平面的というか……率直にいうと面白くないと思う。
私が目指している演技は、悲しさを隠しているのだけれども何かの拍子でそれが出てきてしまうような表現。心の傷を隠して生きる人が気になる。

撮影が続いている。金網を蹴ってみる。すると少し気分が変わった。
開き直ったというか、なんだか少し楽しくなってきた。
次は何をしよう。

 

●モデル/清田みくり……2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。女優

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